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2023.01.25
都市緑地法「緑化地域制度」と「緑化率」
現在、国や地方公共団体では環境保全や地球温暖化への対策として「緑化」の推進を図るべく、様々な制度を設けています。
今回は国土交通省により定められた都市緑地法の中の「緑化地域制度」と「緑化率」について解説いたします。
◆なぜ緑化地域制度が必要なのか
市街地化が進み、隙間なく建築物が建てられている場所に対して新たに公園を増やしたり、街路の緑化を進め、街に緑を増やしていくことには限界があります。
そこで、このような地域において緑を確保するために、公的空間の緑化と併せて、建築物の敷地の緑化を積極的に推進することが必要だと考えられ「緑化地域制度」が制定されました。
緑化地域制度が制定されてからも都市における緑化は未だ十分ではなく、商業地域等の敷地内空地が少ない地域における緑化推進が課題となっています。
◆緑化地域
良好な都市環境の形成に必要な緑地が不足し、建築物の敷地内において緑化を推進する必要がある区域を「緑化地域」といいます。緑化地域の指定要件等は「都市緑地法」に規定されています。
現在、東京都世田谷区(東京都市計画緑化地域)・神奈川県横浜市(横浜市緑化地域)・愛知県名古屋市(名古屋都市計画緑化地域)・愛知県豊田市(豊田市緑化地域)の4つの地域が緑化地域の指定となっています。
◆緑化地域制度
緑化地域内で、敷地が一定規模以上の建築物を建てる際に、その敷地面積の一定割合以上の緑化が義務づけられるというものです。これにより、緑を効果的に増やすことができます。
緑化地域制度は建築基準関係規定とみなされます。
建築物の新築又は増築に伴って緑化率を満たすことが建築確認及び完了検査の要件となるため、緑化が完了していない場合は完了検査を受けられませんので注意が必要です。
◆緑化率
建物の敷地面積に対する地上部分における緑地面積の割合のことを「緑化率」といいます。
以前は敷地内の空地部分の緑化を主としており、建ぺい率が高い地区などでは緑化率の最低限度が低率で設定されていました。
近年「壁面緑化」や「屋上緑化」などの緑化技術が普及してきたことを踏まえ、緑化地域における緑化率の最低限度の基準が平成30年4月より見直されました。
<改正点>
1.緑化率の最低限度の基準の見直し
商業地域等の建ぺい率の高い地域における都市緑化の推進のため「屋上緑化」等の普及を踏まえ、建ぺい率にかかわらず 25%まで設定可能となりました。
2.壁面緑化に関する緑化率の算定方法の変更
壁の正面から見た際の面積(鉛直投影面積)を算定します。
草花その他これらに類する植物又は芝その他地被植物等に加えて、これらの植物が生育するために必要な資材(補助資材、植栽基盤等)も緑化施設の面積として算定します。
◆緑化地域における注意点
樹木やシバ、壁面緑化などの緑化施設は、設置後も適切な状態に維持され、地域の環境の向上に役立つ必要があります。
植物が枯れてしまったりして、最低限度の緑化率を満たせなくなってしまった建物は緑化率違反となり、是正の勧告や立ち入り調査が入ることもあります。
違反が是正されない場合には罰則もあるため、緑化を計画する際には、将来にわたり緑化を維持できるよう無理なく計画を行うことが大切です。
◆まとめ
緑化地域に指定された場所への建築や増築の際には様々な規定をクリアする必要があります。
緑化計画や申請手続きなどは専門的な内容が多いので、各自治体へ確認を行いながら進めることが大切です。
緑化施設や維持管理については、緑化事業を行っている業者会社へ相談しながら進めることで、不備が無く安心・安全に緑化を行えるため、おすすめいたします。
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