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2025.05.15
苔緑化とは?スナ苔を使った手軽で環境に優しい緑化方法

苔による緑化とは、壁や屋上、庭などに苔を植えて、緑を取り入れる方法です。
実際に屋上や壁面を苔で緑化する際には、トレーやパネルなどに苔を生育させたものを用いる方法が多く取り入れられています。
一般家庭では、シート状の苔を庭に植えることで、簡単に苔庭による緑化が楽しめます。
今回は、屋上の緑化で多く使用される「スナ苔」を例に、苔緑化について解説いたします。
1.苔緑化が近年注目されている理由
2.苔で緑化するメリットは?
3.苔で緑化するデメリットは?
4.苔緑化の成功のポイント
1.苔緑化が近年注目されている理由
苔を使った緑化が注目されている理由のひとつは、環境へのやさしさです。
苔は、二酸化炭素を吸収して空気をきれいにする効果や、断熱機能による温暖化対策など、環境対策としても期待されています。
また、軽量で設置が比較的簡単であることから、既存のビルの屋上や壁面など、これまで緑化が難しかった場所にも利用できるため、取り入れやすいのです。
手入れも簡単で農薬も不要、都市部でも導入しやすいことから、持続可能な緑化手法として関心が高まっています。
2.苔で緑化するメリットは?
苔を使った緑化には、さまざまなメリットがあります。
2-1.管理がしやすい
まず最大の特徴は、管理のしやすさです。
草刈りや剪定が必要なく、害虫の被害も少ないため、あまり手間をかけずに緑化を行うことができます。
スナ苔は、雨水があれば散水もほとんど必要ありません。
芝生や草花と比べても成長がゆるやかで、こまめな手入れが不要な点も魅力です。
2-2.低コスト
苔は、施肥や水やりなどのお手入れがほとんど必要ありません。
そのため、生育にかかるランニングコストや、管理のための人件費、設備投資のコスト
があまりかからないというメリットがあります。
苔緑化は初期費用から維持管理費まで、総合的に低コストでの緑化が実現可能です。
とくに長期的な視点で見ると、そのコストメリットは顕著となります。
2-3.環境に優しい
苔には、二酸化炭素を吸収・固定する機能があるため、空気の清浄化に役立ちます。
また、蒸散作用により周辺の温度を下げる機能があるため、ヒートアイランド現象の緩和にもつながると考えられています。
屋上を緑化することで、建物内への熱の侵入が軽減され、冷暖房の効率も上がり、省エネ効果も期待できます。
苔での緑化は、環境に優しい取り組みといえるでしょう。
2-4.設置しやすい
狭い場所や急な傾斜でも育てることができるため、小さな庭や屋上、さらには壁面などの緑化も可能です。
苔のトレーやパネルを専用の金属金具で固定するため、設置は比較的容易に行えます。
土壌が必要なく軽量であることから、建物への負担が少ないのも取り入れやすいポイントです。
これにより、都市部などの限られたスペースやコンクリートの中に自然を取り入れやすくなります。
3.苔で緑化するデメリットは?
苔による緑化には多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも理解しておく必要があります。
3-1.景観に乏しい
スナ苔は緑一色なので、他の植物に比べてデザイン性や景観効果では劣る場合もあります。
他の植物や石などと組み合わせる、日本庭園風のデザインがおすすめです。
3-2.踏圧に弱い
スナ苔は踏圧に弱いという弱点があります。
人の出入りの多い場所には不向きなため、足を踏み入れる場所に苔を配置するのは避けましょう。
苔庭にする際には、飛び石や歩道を配置すると、苔を傷めずに通路を確保することができます。
3-3.過剰な水分に弱い
スナ苔は乾燥に強い一方で、過剰な水分には弱い傾向があります。
スナ苔は非常に高い保水能力を持っていますが、過度の水分も問題です。
湿度が高すぎる環境や水が溜まりすぎると、カビや腐敗の原因になることがあります。
そのため、適切な水はけが求められます。
3-4.自治体によっては法定緑化の対象外となる
自治体によっては、苔は法定緑化の対象外となることがあります。
一般的には、屋上緑化は「緑化面積」として認められることが多いですが、具体的な適用条件や認定基準は地域で異なります。
苔による緑化の法定緑化としての認定は、地域や具体的な条件によって異なるため、計画段階での確認が重要です。
4.苔緑化の成功のポイント
4-1.環境に適した苔を選定すること
苔の種類によって水分や日照の必要量が異なるため、配置する場所に適した苔を選びましょう。
また、目的やデザインに応じて、色や形状、成長方法を考慮して選定を行うといいでしょう。
屋上に緑化する際には、乾燥や強風に強いスナ苔がおすすめです。
日向 | 半日陰 | 日陰 | |
屋上 | スナ苔 | ハイ苔 | |
壁面 | スナ苔 | ハイ苔 | |
苔庭 | スナ苔・ホソウリ苔 スギ苔 | コツボ苔・シッポ苔ハイ苔・カモジ苔・ | シノブ苔・タマ苔ヤマ苔・ヒノキ苔 |
4-2.観察、必要に応じてメンテナンスを行う
基本的に頻繁なメンテナンスは必要ありませんが、立地の環境や、苔の種類の特性に合わせた手入れを行いましょう。
定期的に観察を行うことも大切です。
苔の健康状態、強風による剥がれなどがないかを確認しましょう。
これらの点を踏まえ、適した環境や維持管理の方法をしっかりと検討することが大切です。
まとめ
苔を使った緑化は、管理がしやすく環境にも優しい点から、屋上や壁面、庭など幅広い場所で注目されています。
とくにスナ苔は、乾燥に強く軽量で扱いやすいため、都市部の緑化にも適しています。
一方で、踏圧や過剰な湿気に弱いなどのデメリットもあるため、設置場所に合った苔の種類を選び、定期的な観察と適切な管理が必要です。
苔緑化は、省メンテナンスで長く楽しめる、持続可能な緑の選択肢として今後ますます期待されています。