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2024.08.06
カーボンニュートラルとは? 緑化でできるカーボンニュートラルの取り組み
世界気象機関(WMO)は、「2023年7月は、世界の平均気温が観測史上最も高い月となった」と発表しました。
国連のグテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が来た」と危機感を募らせています。
地球温暖化による気候変動が問題となっています。
解決に向けての取り組みであるカーボンニュートラル。
カーボンニュートラルにおいても、緑化は大切な取り組みであることをご存知でしょうか。
・カーボンニュートラルとは
・温室効果ガスと気候変動
・温室効果ガスの排出
・カーボンニュートラルと緑化の関係
についてご紹介いたします。
◇カーボンニュートラルとは
2015年のパリ協定において、
産業革命以前に比べ
・世界の平均気温上昇を2℃未満に抑える
・平均気温上昇1.5℃未満を目指す
という気候変動の抑制に関する、国際的な協定が採択されました。
地球規模の長期的な課題であり、2021年11月時点で、154カ国がカーボンニュートラルの実現を表明しています。
それに基づき、政府は2020年に
「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」
という、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。
日本が目指すカーボンニュートラルとは、気候変動の原因となっている二酸化炭素やメタン、一酸炭素などの温室効果ガスの「排出量」から、「吸収・除去量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにする、というものです。
排出する量を完全にゼロにできるのが一番ですが、現実的には難しいため、吸収量を差し引いてゼロにしましょう、ということになります。
◇温室効果ガスと気候変動
もともと温室効果ガスといわれるCO2などは大気中に含まれており、太陽から地球に降りそそぐ熱を宇宙へ放出させ、地球を適切な温度に保っています。
しかし、温室効果ガスが増加し濃度が濃くなることによって、太陽からの熱が適切に宇宙へ放出されなくなってしまい、その結果、地球の温度が上昇するといわれています。
地球の気温が上昇することで、どのような影響があるでしょうか。
ゲリラ豪雨や干ばつなどの異常気象、海面水位の上昇、山火事、農作物の不作による食糧不足や飢餓、感染症の増加や熱中症による健康被害を引き起こすなど、影響は多岐にわたります。
そして、地球温暖化よりも深刻な「地球沸騰化時代」が訪れたいま、その影響はさらに深刻化するといわれています。
◇温室効果ガスの排出
二酸化炭素、メタン、一酸化炭素などの温室効果ガスは、人間による経済活動や、日常の生活のなかから排出されています。
環境省によると、2020年の日本のCO2総排出量は11億5000万トンで、発電や産業部門、運輸部門などからの排出が多くなっています。1)
電力部門・産業部門・民生部門・運輸部門などの各部門、省エネルギーや脱炭素化が進むものの、技術の開発が必要な部分もあるため、完全なる排出ゼロは現実的には難しいといわれています。
CO2の排出は家庭からも行われるため、国や企業だけでなく、個人でも取り組むことが大切です。
具体的には
・移動はなるべく公共機関を利用する
・ごみの排出量を減らし、資源をリサイクルする
・節電を意識したり、省エネ家電を使用する
・太陽光発電などの再生エネルギーの導入
など、小さなことでもひとりひとりの意識によって削減に貢献することが可能です。
◇カーボンニュートラルと緑化の関係
排出された温室効果ガスは「吸収・除去」を行い、ゼロに近づける必要があります。
緑化や植林は、温室効果ガスの削減へ向け、吸収源対策としての貢献が期待されています。
樹木や植物は、大気中のCO2を吸収し成長します。
それだけでなく、吸収したCO2を、長期間貯留させることができます。(炭素固定)
環境省によると、2020年の森林等からの吸収量は約4450万トン、うち都市緑化等では約130万トン。2)
カーボンニュートラルの実現に向けての対策や方向性の一つに「都市緑化」があげられています。3)
日本の国土の約7割を占める森林に吸収量は及ばないものの、屋上・壁面を含む都市緑化は、二酸化炭素の吸収源になります。
ほかにも、気候変動によるゲリラ豪雨などの雨水貯留、浸透等の防災・減災機能に貢献することが期待されています。
国土交通省は、CO2排出の多い道路分野の対策としても、道路緑化によるCO2の吸収の促進を対策にあげています。4)
企業のような規模でなくても、個人で緑化を行うことも温室効果ガスの吸収に貢献します。
独立行政法人 環境再生保全機構では、植物のもつ大気浄化能力を活かし、大気環境の改善を図ることを目的とした「大気浄化植樹マニュアル」を発行しています。5)
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/05/pdf/jyoka00_all.pdf
CO2吸収量を上げるために、大気浄化能力の高い樹種を選択することも「吸収」への貢献につながるでしょう。
◇まとめ
気候変動の原因となる、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロの状態を目指すカーボンニュートラル。
このまま地球温暖化が進むことで、地球や私たちへの影響がますます大きくなります。
排出の削減・吸収は、国や企業で取り組むことはもとより、個人での取り組みも大切です。
緑化は、温室効果ガスの吸収源としての貢献が期待されています。
カーボンニュートラルの実現に向け緑化を行うことは、地球を守ることにつながるでしょう。
弊社でも、ご相談などを承っております。お気軽にお問合せください。
参考引用文献
1) .2) 環境省 「2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について」https://www.env.go.jp/press/110893.html#:~:text=%E7%92%B0%E5%A2%83%E7%9C%81%E3%81%A8%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E7%92%B0%E5%A2%83,4%2C450%E4%B8%87%E3%83%88%E3%83%B3%E3%81%A7%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82
3) 環境省 「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」令和3年https://www.env.go.jp/content/900440767.pdf
4) 国土交通省 カーボンニュートラルに向けた道路分野の貢献について
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001387167.pdf
5) 独立行政法人 環境再生保全機構 「大気浄化樹種マニュアル2014年度 改訂版」2014
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/05/pdf/jyoka00_all.pdf